Mac上でFlutterを開発するための環境構築方法を解説します。
VSCode、Ruby(Homebrew + rbenv)、Xcode、Android Studio、そしてFlutter SDKの導入からテスト実行までを扱います。
目次
1. macOSのアップデート(推奨)
- Appleメニュー(画面左上のリンゴマーク) → 「システム設定」(または「システム環境設定」)
- 「一般」 → 「ソフトウェアアップデート」 でmacOSを最新バージョンにアップグレードしておきます。
- 時間がかかるため、事前に余裕をもって実施してください。
2. VSCodeのインストール
- ブラウザで「VSCode インストール」と検索するか、Visual Studio Code公式サイト にアクセスします。
- 使用しているMacのCPUアーキテクチャ(IntelかApple Silicon)に合ったインストーラをダウンロードします。
- ダウンロードしたzipまたはdmgファイルを解凍し、アプリケーションフォルダなどに配置します。
- VSCodeを起動し、問題なく起動できるか確認してください。
VSCodeのフォルダを開く方法
- ドラッグ&ドロップ:VSCodeのアイコンへフォルダをドラッグ&ドロップ
- **VSCodeの「ファイル」→「フォルダーを開く」**から対象フォルダを選択
3. VSCode拡張機能のインストール
- VSCodeの左サイドバーにある**拡張機能マーク(四角が積み重なったアイコン)**をクリック。
- 次の拡張機能を検索してインストールします。
- Dart
- Flutter
- Japanese Language Pack for Visual Studio Code(日本語化用)
4. Ruby環境構築 (Homebrew + rbenv)
Flutterのセットアップそのものには必須ではありませんが、Rubyを使う場面(CocoaPodsの管理など)があるため、Ruby環境の構築方法もまとめています。
4.1 Homebrewのインストール
- Homebrew公式サイト へアクセスし、記載されているインストール用コマンドをコピーします。
- ターミナルを開いて、コピーしたコマンドを貼り付けてEnter。
- 「既にインストール済み」の場合はスキップして構いません。
- コマンドは時期によって変更されるため、必ず最新のコマンドを公式サイトで確認してください。
4.2 Homebrewのバージョン確認
brew -v
- バージョンが表示されればOKです。
4.3 rbenvのインストール
- 下のコマンドでrbenvとruby-buildをインストールします。
brew install rbenv ruby-build
- インストール後、rbenvを初期化します:bashコピーする
rbenv init
- ターミナル上に「書き込んでください」というメッセージが出る場合は、シェルの設定ファイルにエクスポート文を追記する必要があります。
- Macのデフォルトシェルはzshなので、多くの場合は
~/.zshrc
(または~/.zprofile
)に追記します。 - bashの場合は
~/.bashrc
に追記します。
- シェル設定ファイルをエディタで開き、
export PATH=...
やeval "$(rbenv init -)"
などの行を追記したら、上書き保存して設定を反映します:bashコピーするsource ~/.zshrc # or ~/.bashrc
4.4 Ruby本体のインストールと設定
- インストール可能なRubyバージョンを確認:bashコピーする
rbenv install -l
- 目的のバージョン(例: 3.1.2)をインストール:bashコピーする
rbenv install 3.1.2
- インストールしたRubyバージョンを使用するように設定:bashコピーする
rbenv global 3.1.2
- 反映確認:bashコピーする
ruby -v
- 指定したバージョンが表示されればOK
4.5 動作確認(簡単なRubyスクリプト)
- 適当なフォルダを作成し、
index.rb
というファイルを作成します。 - 中に以下のように記述:rubyコピーする
puts "Hello, Ruby!"
- ターミナルから実行:bashコピーする
ruby index.rb
Hello, Ruby!
と出力されれば成功。
5. Xcodeのインストール
- App Storeを開き、「Xcode」で検索してインストールします。
- インストール後、Xcodeを初回起動すると使用許諾契約などの画面が出るため、同意 → Macのパスワード入力 → 追加コンポーネントのインストール を行います。
- シミュレーターなどのダウンロードが行われる場合があるので、完了まで待ちます。
6. Android Studioのインストール
- Android Developers公式サイト へアクセスし、Download Android Studio ボタンをクリック。
- Intelチップの場合は
Android Studio for Mac (Intel)
, Apple Siliconチップ(M1/M2)の場合はAndroid Studio for Mac (ARM)
を選択
- Intelチップの場合は
- ダウンロードしたdmgファイルを開き、Android Studioをアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップします。
- Android Studioを起動し、初回セットアップウィザードが表示されたら、
- Standard を選択
- SDK関連のライセンスに「Accept」
- その後インストールが行われるので完了まで待機
- セットアップ完了後、Android Studioのメニューから
- 「Settings」または「Preferences」 → 「Appearance & Behavior」 → 「System Settings」 → 「Android SDK」
- SDK Tools タブから 「Android SDK Command-line Tools (latest)」 をチェックしてインストール
- すべて完了したらAndroid Studioは一度閉じてOKです。
7. Flutter SDKのインストール
7.1 Flutter SDKのダウンロード
- ブラウザで「Flutter 3.10.0.1 インストール」などと検索するか、Flutter SDKアーカイブページ へアクセスします。
- 「3.10.0.1」など、目的のバージョンを選択。
- IntelチップのMac →
x64
- M1/M2などApple Silicon →
arm64
- IntelチップのMac →
- ダウンロードしたzipファイルをホームディレクトリ(
/Users/ユーザー名/
)などに解凍します。- ダウンロード元のzipは不要になれば削除して構いません。
7.2 パスの設定
- ターミナルを開き、現在のシェル(zshかbashか)を確認:bashコピーする
echo $SHELL
- zsh:
/bin/zsh
→~/.zshrc
か~/.zprofile
- bash:
/bin/bash
→~/.bashrc
- zsh:
- シェル設定ファイルを編集して、Flutter SDKの
bin
ディレクトリをPATHに追加:bashコピーするnano ~/.zshrc # 例としてnanoエディタを使う場合
以下のような行を最上部や末尾に追加します(ユーザー名は自分のものに置き換え):bashコピーするexport PATH="$PATH:/Users/<ユーザー名>/flutter/bin"
- 保存後、反映:bashコピーする
source ~/.zshrc
7.3 ライセンスへの承認
bashコピーするflutter doctor --android-licenses
- 何度か
y
を押して承認を進める
7.4 不要なダートSDK競合のアンインストール (警告対処)
- Flutter/Dartが競合警告を出す場合は、
brew uninstall dart
としてHomebrew経由のDartを削除し、Flutter付属のDartを使うようにします。
7.5 Android Studio側Javaパス修正(必要な場合のみ)
- 「
Unable to find bundled Java version
」エラーが出る場合の対処:- Finderから「アプリケーション」 → Android Studio を右クリック → 「パッケージの内容を表示」
- Contents →
jbr
フォルダをコピーし、同じ階層にペースト - ペーストされた
jbrのコピー
フォルダ名をjre
にリネーム - ターミナルで
flutter doctor
を再度実行し、問題が解決したか確認
7.6 CocoaPodsのインストール(iOSビルドに必要)
brew install cocoapods
- 「Already installed」と出る場合は既に入っているのでOK。
7.7 確認
bashコピーするflutter doctor
- 全て
✓
になればセットアップ完了です。
8. Flutterプロジェクトの作成と実行
- デスクトップなどに作業用フォルダ(例:
flutter_apps
)を作成 - ターミナルでそのフォルダへ移動:bashコピーする
cd ~/Desktop/flutter_apps
- Flutterプロジェクトを新規作成:bashコピーする
flutter create first_app
- 作成された
first_app
フォルダをVSCodeやAndroid Studioで開く
8.1 VSCodeで実行する場合
- VSCodeを開き、プロジェクトフォルダ
first_app
をドラッグ&ドロップ - デバッグ用デバイス(エミュレーター/実機)を起動する
- Android Studio → Tools → Device Manager → 好みのエミュレーターを起動
- または iOS Simulator をXcodeから起動
- VSCode下部(右下あたり)にあるデバイス選択で、起動したエミュレーターを選択
- ターミナル(またはVSCodeのターミナル)で:bashコピーする
flutter run
- アプリがエミュレーター上に起動すればOKです。
8.2 Android Studioで実行する場合
- Android Studioを起動 → Open →
first_app
のandroid
フォルダを選択 - 右上のデバイスマネージャーから適切なエミュレーターを起動
- Run ボタンを押してビルド・実行
- エミュレーター上にFlutterアプリが表示されれば成功
9. VSCodeを日本語化する(オプション)
VSCode上部メニューから
- 表示 → コマンドパレット
- 「Configure Display Language」(または類似の文言) を入力して選択
Japanese
を選択- VSCodeをリスタートすると日本語表記に切り替わります。
Apple Developer アカウントなしで実行する方法
- 無料のApple IDを使う
Apple Developer アカウントがなくても、無料のApple IDを使ってiOSデバイスにアプリをインストールして実行できます。しかし、この場合、署名に関していくつか制限があります。 - 制限事項:
- アプリの有効期限:無料のApple IDでは、インストールしたアプリの有効期限が7日間に設定されます。その後は再度署名し直す必要があります。
- App Storeで公開できない:この方法ではApp Storeにアプリを公開することはできませんが、開発中のアプリを自分のデバイスにインストールしてテストする分には問題ありません。
- デバイス数の制限:同時に使えるデバイスの数に制限があり、最大3台までです。
Apple Developer アカウントなしで実行するための手順
- Xcodeで無料のApple IDを設定する:
- Xcodeを開き、Xcode > Preferences から Accounts タブを開き、Apple IDを追加します。
- 無料のApple IDでサインインし、XcodeにApple IDを設定します。
- Signing & Capabilitiesの設定:
Runner.xcworkspace
をXcodeで開き、Signing & Capabilities タブで「Automatically manage signing」をオンにします。- Team で、無料のApple IDを選択します。
- Bundle Identifierの確認:
- Bundle Identifier(例えば
com.example.firstApp
)は、必ず一意の名前に設定します。通常、com.example.firstApp
のままで問題ありません。
- Bundle Identifier(例えば
- ビルドと実行:
- Xcodeでビルドを行い、デバイスを選んでアプリをインストールします。
- iPhoneにアプリがインストールされ、デバイス上で実行できるようになります。
まとめ
- macOSを最新にアップデート
- VSCodeインストール & 拡張機能導入
- Ruby環境(Homebrew + rbenv)整備
- Xcodeインストール & 初回起動
- Android Studioインストール & SDK設定
- Flutter SDKダウンロード & PATH設定
- ライセンス同意 & 各種警告の対処
- Flutterプロジェクトの作成・実行
- VSCodeの日本語化(任意)
上記の手順がすべて完了すると、Mac上でFlutterアプリをビルド・実行できるようになります。エミュレーターや実機を用いて開発を始められますので、ぜひお試しください。